そんなワケで、昨日は取材で川崎に行ってたので大慌てで池袋の東京芸術劇場に向かったワケで。
古楽器によるバッハ演奏で世界的に名高いフィリップ・ヘレヴェッヘ。 自ら育てあげたコレギウム・ヴォカーレと共に、その名声を確固たるものにしたバッハ3大宗教曲の一つ《ミサ曲ロ短調》を東京の夜に響かせます。
2006.06.08 (木) OPEN : 18:30 / START : 19:00 会 場 東京芸術劇場大ホール Tokyo Metropolitan Art Space 演 目 J.S.バッハ ミサ曲 ロ短調 BWV 232 キリエ ・・・・・・・・ 主よ、憐れみ給え グローリア ・・・・・・・・ いと高き処にて神に栄光あらんことを ニケア信経(クレド) ・・・・・・・・ 我は信ず唯一の神 サンクトゥス ・・・・・・・・ 聖なるかな オザンナ ・・・・・・・・ いと高き処にオザンナ ベネディグトゥス ・・・・・・・・ 主の御名において オザンナ ・・・・・・・・ いと高き処にオザンナ アニュス・デイ ・・・・・・・・ 我らに平和を与え給え
「ヘレヴェッヘのバッハ」と聞いただけでもう名演間違いなしの勢いなので、イープラスのプレオーダーでチケットを入手したのだが、1Fのやや後列センター。クラシックのコンサートとしてはなかなか満足できる席なのだが、東京芸術劇場はかなりキャパがデカいので、古楽器オケとしてはどうかと。
息を切らしてなんとか開演に間に合う。新聞で告知を繰り返した上にイープラスの得チケが出たせいか、ほぼ満席。
コンミスが出てきて音合わせ。古楽器オケはモダンオケの儀礼的なチューニングとは違って、ちゃんとチューニングしている場面が多いのだが、かなり執拗に音合わせしている。あんなに執拗にやってるのは初めて見た。(それが悪いという事ではないです)
ソリストとヘレヴェッヘが登場。
ソリストはカウンター・テナーが変更になっている上に、土壇場になってテナーまで変更。オケのメンバーも代わっているようだし、あんまり感心しない。
第一曲の「キリエ」が始まる。
宗教曲はイメージとして厳かで包容力のある感じがするのだが、音はきれいなのだが、どーもそんなに厳かではない。妙にセカセカしていて、「古楽器の悪い面が出たか」という感じではある。ヘレヴェッヘの指揮は両手をせわしなくグルグルと、しかもグニャグニャと回しているような、なんともヘンな指揮である。
ヘレヴェッヘといえば、昨年のロイヤルフランダースフィルの公演でも見たのだが、こんなヘンな指揮だったけなぁ。シャンゼリゼ管ともこんななのかなぁ。ブルックナーを指揮してるのに。
「これだったらバッハ・コレギウム・ジャパンの方が良かったなぁ」 と思ってたら、それより後の曲は納得できるテンポ。一曲目は何だったんだ...
しかし、その後も全部がいいわけではなく、そこそこ良く響くホールとはいえ、編成が小さめなので薄味な演奏。まぁ、ヘレヴェッヘらしいといえばそうなんだけど。好みといえばそうなんだけど。割と淡々としてるかな。
ソリストにはちょっと言いたい事があって、各々の印象は下記の通り。
ヨハネッテ・ゾマー(ソプラノ)・・・ソリストの中では最も良かった。歌い出しがやや乱暴。美人。
ダミアン・ギヨン(カウンター・テナー)・・・ゾマーとのデュエットでは「非力」と思ったが、ソロはまぁまぁ良い。
ユリウス・プファイアー(テナー)・・・悪くないけど出番が少なくてよく分かんない。バウアーほどは悪くないけど、そう良くもない。
トーマス・E・バウアー(バリトン)・・・イモ。聴きづらい。
いやぁ、これはなかなか近年稀に見るソリストの取り合わせの悪さ。
逆に良かったのは合唱。
さすがに「ゴレギウム・ヴォーカレ」だけあって、録音ならともかく、実演であんなにきれいに合わせられるのかと感心するほど。正直言って、ソロが終わって合唱に入るとホッとしたもん。
そういえば、前半でホルンのおっさん(Rafael Vosseler)が消えたが(自分のソロを終えたからでしょうが)、全然鳴ってなくて、「古楽器のホルンはそんなもんか」とも思ったが、そんなもんなんだろうか。
弦楽器とトランペットはなかなか良かったかな。「それなり」という感じもするけど。
なんというか、ヘレヴェッヘらしい美音ではあったけど、それが全体的に「線の細さ」に出てしまったように思う。これはもっと小さいホールでやったら違うのかもしれないけど。宗教曲らしいというか、厳かな部分ではもっとしみじみと、歓喜の部分ではもっと爆発して欲しかった。
そういう意味では、古楽器ではないけど、ミッシェル・コルボは本当に宗教曲においては素晴らしいと思う。ヘレヴェッヘは今回の演奏に関して言えば、「曲」よりも「音」に偏ってしまったかと。そして、その「音」に関しても万全ではなかったかと。
「ミサ曲ロ短調」を実演で聴くのは昨年のバッハ・コレギウム・ジャパンの公演に続いて2度目なのだが、この出来ならBCJの方がずっと良かった。野々下先生の美声が未だに忘れられないし。今回の公演がBCJに勝ってるのは合唱くらいなものか(BCJがダメだったからではなく、コレギウム・ヴォーカレが今回は凄く良かったから)。BCJの時はボクの入り込みようがあまりなくて、「なんとなく始まった」という感じだったけど、すぐにその世界に引き込まれて、夢を見ている間に終わっちゃった感じ。今回のも悪くはないんだけど、冒頭に書いた「ヘレヴェッヘのバッハ」という期待感からすると、そんなでもない出来かと。てゆーか、チケット高いよ。
てゆーか、ソリスト変わりすぎだぞ。

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